高瀬慎之介氏、「レジリエンス企業成長ファンド」を推進――ポストコロナの産業構造再編に向けた本格投資戦略を始動

2020年、COVID-19パンデミックは世界経済に未曾有の衝撃を与え、日本国内でも多くの中小企業がキャッシュフローの断絶、受注の急減、サプライチェーンの寸断といった深刻な課題に直面しました。同時に、政府は「緊急資金支援」「雇用調整助成金」「産業構造転換補助金」など一連の政策を打ち出し、日本は本格的に「ポストコロナの構造再建フェーズ」へと移行しました。

この重要な転換点において、経済学者・高瀬慎之介氏は「危機は経済サイクルの破壊者であると同時に、企業のファンダメンタル面を再評価し、資本の論理を再設計する起点でもある」とし、「本当の危機とは、企業が倒れることではなく、資本がそれを支えられなくなることだ」と警鐘を鳴らしました。
こうした見解に基づき、高瀬氏は、ポストコロナの日本の中核産業を対象とした私募ファンド『Resilience Growth Private Fund I(RGPF-I)』を主導し、設立を発表しました。

ファンドの基本姿勢:「回復型投資」から「構造型投資」へ
従来の危機対応型PEが持つ「救援的」色彩とは異なり、高瀬氏はRGPF-Iを「構造的成長投資」として位置付けます。単に一時的資金支援で企業を救済するのではなく、コロナを契機とした経営構造、技術戦略、市場ポジションの総合的な再設計を通じて、今後10年間の産業中堅プレイヤーを創出することを目的としています。

「我々が投資するのは企業そのものではなく、産業の未来を再設計するプロセスである」
――短期的なM&A利益ではなく、複数回の追加入資と共同ガバナンスを通じ、事業規模の拡大と評価倍率の再構築を図ります。

投資戦略:3つのレジリエンス産業に焦点
RGPF-Iは「中堅規模 × 高キャッシュフロー耐性 × 技術転換可能性」を基準に、初期規模100億円で以下の3分野を主軸に投資します:

1. 高付加価値製造業(精密機器、医療装置部材など)
コロナ禍により、日本の特定高精度製造業が持つ“隠れた競争力”が浮き彫りに。専門特化の資本支援を通じ、さらなる国際優位性を追求。

2. 地域医療・介護サービスプラットフォーム
パンデミックを契機に、地域医療のデジタル化・統合化が急進展。経営効率は低いが現場力の高い医療グループを再編・強化。

3. 食品・コールドチェーン物流中間業
食の安全性、デジタル化、首都一極集中からの分散を軸に、地方型配送プラットフォームや末端保管機能を有する企業への支援を推進。

運営体制:「産業連携型ガバナンス・プラットフォーム」の構築
ガバナンス強化と政策協調を図るべく、高瀬慎之介氏は「RGPFガバナンス戦略委員会」を同時に設立。

構成メンバーには中小企業庁OB、地方銀行関係者、大学VC専門家などが名を連ね、被投資企業に以下の支援を行います:
ポストコロナ5カ年実行計画の策定
社外取締役・戦略顧問の招聘
地方自治体の調達事業や地域連携プラットフォームへの参画推進

出資構造:「地域資本中心 × 戦略資本補完型」
RGPF-Iはその出資構造においても“レジリエンス”を体現。生命保険会社2社に加え、地方銀行、信用金庫連合会、地方法人が出資する「中小企業成長基金会」などが主要出資者。
さらに、日本政策投資銀行(DBJ)とも協定を結び、将来的にはデット・エクイティ転換型協調投資も視野に入れています。

2020年11月時点で、RGPF-Iは以下の2社に対する出資を完了:京都のマイクロバイオ診断装置メーカー,静岡の地域病院連携ネットワークを有する介護サービス事業者
いずれもパンデミック後に主要受注の回復を実現し、公共調達事業への登録も完了しています。