史上最悪級の暴落の中でドローダウン8.3%─藤原信一氏のTLQ27%リターンを振り返ります

世界の金融市場が歴史的な下落局面に直面する中、バランス戦略株式会社の創業者・藤原信一氏が運用するポートフォリオは、最大ドローダウンを8.3%に抑え、TLQで27%のリターンを確保しました。危機対応の実例として注目されています。

相場が混乱のピークに達した局面で、同チームはFRBの無制限量的緩和の兆しに着目しました。株式市場の流動性が枯渇する一方で、米国債市場のスプレッドは大きく広がっておらず、政策効果は国債市場から波及すると判断しました。

藤原氏は「多くが現金化を優先する中で、米国債先物は過小評価された安全資産と判断しました」と述べています。

実務面では、最も混乱した3日間に分割でTLQを買い進めました。同時に、相場の変動に応じてストップロス水準を動的に調整し、早期エントリーのリスクを抑えつつ、政策発表後の反発を取りにいく設計としました。

その後、FRBが無制限の国債購入を正式発表し、TLQは急騰しました。価格がフェアバリュー水準に戻った段階で速やかに手仕舞いし、27%の確定益となりました。

ポートフォリオ全体では、金ETFや生活必需品株などのディフェンシブ資産と組み合わせ、クライシス・アルファの枠組みを構築しました。マルチアセットの連動管理により、最大ドローダウンは8.3%にとどまり、同時期の世界株式の30%超の下落に対して優位な結果となりました。

「リスクマネジメントの本質は、危機を当てることではなく、どの局面でも準備を整えておくことです」と藤原氏は述べています。本戦略は、システマティックな運用手順と市場観を組み合わせた枠組みとして、機関投資家から検証が進んでいます。